1. 「女物」の境界線
私は昭和の男です。 「男は黙ってメンズコーナー」。 レディースの服を着るなんて、天地がひっくり返ってもありえない。 そう吠えて生きてきました。
しかし、人間歳をとると丸くなるのでしょうか。 それとも、単に安さに釣られただけでしょうか。
2. 悪魔の囁き「2,990円」
ユニクロの名作と名高い「タックワイドパンツ(レディース)」。 定価3,990円が、期間限定で2,990円になっていました。
「最近は男でも履いてるらしいよ」 そんな噂は聞いていましたが、店舗でレディースコーナーをうろつく勇気はありません。 私の主戦場はネットストアです。 ここなら誰の目も気にせず、しかも店舗には置いていない「丈長め」モデルが選べます。
身長のある私には、この「丈長め」こそが生命線。 ええい、ままよ。 2,990円という安さに背中を押され、震える指で「カートに入れる」をクリックしました。
3. スースーする足元、伸びる足
数日後、自宅に届いたパンツを早速試着。 久しぶりのワイドパンツです。 足を通すと、スラックスとは違う独特の「スースー感」が足元を吹き抜けます。 なんだこれは。落ち着かない。
しかし、鏡の前に立って驚きました。 「……悪くない」
ストンと落ちる綺麗なシルエット。 「丈長め」を選んだおかげでレングスも完璧にフィットし、心なしか私の短い足がスッと伸びたように見えます。 お値段以上のトロッとした質感も素晴らしい。
唯一の問題は、股上の深さ。 ウエストの位置がアバラ骨の辺りまで来ます。 タックイン(シャツを中に入れる)をすると「昭和のハイウエストおじさん」になってしまいハードルが高いですが、裾をアウトにして着れば、極めて自然。 むしろ、今の時代の「抜け感」すら漂います。
4. そして「女装家」への第一歩?
鏡の中の自分に「有り」の判定を下した瞬間、私は勝利を確信しました。
グレー。 ブラック。 ベージュ。
実は、あまりの安さに最初から3色まとめ買いをしてしまっていたのです。 (サイズが合わなかったらどうするつもりだったんでしょうか…)

こうして私は、禁断の扉を開けました。 これが「多様性」というやつでしょうか。 それとも、これで私も晴れて「女装家」の仲間入りでしょうか。
とりあえず、明日からアバラまでパンツを履き上げて、街を闊歩しようと思います。

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